MENU

    バーチャルオフィスの選び方-「無料」ではなく「総額」で選ぶ-

    目次

    バーチャルオフィスの選び方-「無料」ではなく「総額」で選ぶ-

    以前、こちらの記事バーチャルオフィスを比較検討する際の注意点をまとめました。①料金の差はそれほど重要でないこと、②銀行法人口座開設の可能性があるかが重要であること、③郵便物の受け取りのサービスについて確認しておくことが重要であることを挙げましたが、今回は①料金の差はそれほど重要ではないことを強調したいと思います。なぜなら、「バーチャルオフィス 無料」という検索ワードが目立つからです。「入会金30,000円が今なら無料」、「保証金不要」、「年払いで月額料金が3か月分実質無料」というようなワードについつい惹かれてしまいませんか?その気持ちはわからなくはありません。しかし、ビジネスを行う皆さんなら気が付くはずです。「無料にできるならそもそも不要な費用なのでは?」、「無料にしないと会員が集まらないのでは?」、「年払いに誘導したいのは月契約だとすぐに解約されてしまうようなサービスだからでは?」などなど。そもそも、どの業界も料金の安さだけで生き残ることは難しいため、値下げで失敗したチェーン店のニュースなどを見聞きしたことがあるかと思います。料金が安いからと契約した結果、そのバーチャルオフィスの運営元が倒産してしまったら、新たに契約をしなければなりません。また、このようなバーチャルオフィスの住所を利用していたというだけで自分のビジネスにマイナスの影響も出てくることもあるかもしれません。今回は、「無料」というワードに過度に引き込まれずに「総額」でバーチャルオフィスを選ぶコツをまとめていきたいと思います。

    おすすめできる「無料」とおすすめできない「無料」

    さて、「無料」をすべて否定するわけではありません。無料のなかにはバーチャルオフィスよりも利用者にとってプラスになる部分が大きい無料もあります。そこで、まずはバーチャルオフィスが提供する無料サービスについて、おすすめできる「無料」とおすすめできない「無料」にわけていきたいと思います。

    おすすめできる「無料」

    バーチャルオフィスが提供する無料サービスのうち、おすすめできるものは大きく2つあります。こちらで紹介したいと思います。

    ①ワークスペースの無料体験

    1つ目はシェアオフィスやコワーキングスペースを同時に運営している場合に、ワークスペースの利用を無料体験できるというサービスです。これはバーチャルオフィスでの利用がメインだが、顧客を招いての打ち合わせや必要に応じてワークスペースの利用も検討しているという方におすすめのサービスです。打ち合わせスペースやワークスペースについては利用者ごとに求めるものが違うと思います。例えば、個人として静かに集中できるスペースを望むのか、会員同士の交流が活発なワークスペースを望むのか。内覧だけではなく実際のオフィスの様子を数日間体験できることでそのオフィスの雰囲気が自分にあったものなのかを知ることが出来ます。バーチャルオフィスに併設するシェアオフィスやコワーキングスペースの利用も検討している方は、「ワークスペースの無料体験は出来るか?」といった点も運営元に確認すると良いでしょう。

    ②銀行の法人口座開設保証による返金制度

    2つ目は銀行の法人口座開設保証による返金制度です。これは法人口座の開設を目的にバーチャルオフィスと契約したにも関わらず、銀行で法人口座を開設できなかった場合に入会金や保証金といった初期費用、月額料金などが返金される制度です。つまり、法人口座開設という目的を果たせなければ無料で退会できるというしくみになります。こういった制度を設けているバーチャルオフィスは法人口座開設実績が高いケースがほとんどです。結果的に無料にならない自信があるからこその提案であり、利用者にとっても何かしらの利用料金が無料になるというよりかは、ほとんど確実にそのオフィスで法人口座を開設できるというメリットを享受することができます。「法人口座が開設できなかった場合の保証はあるのか?」といった点を運営元に確認すると良いでしょう。

    おすすめできない「無料」

    バーチャルオフィスが提供する無料サービスのうち、おすすめできないものは大きく2つあります。こちらで紹介したいと思います。

    ①初期費用の無料

    1つ目は入会金や保証金など初期費用の無料です。これがおすすめできない理由はいくつかあります。まず、保証金の無料はビジネスに対して覚悟のない利用者が入会することにつながることが考えられます。こうした利用者が多く入会すれば、バーチャルオフィスの運営元の経営は傾き、最悪の場合は運営元の倒産など利用者にとってマイナスの事態を引き起こすことにつながりかねません。そこまではいかなくとも、利用料金の値上げやサービスの劣化といった問題にもつながりかねません。敷金や礼金をきっちり受け取るアパートであれば、家賃の滞納はその部屋の契約者の問題として処理されますが、敷金や礼金不要のアパートで同様の問題が起これば、他の入居者の賃料で回収することが必要になります。これは個人的な見解ですが、健全なバーチャルオフィスであるためには保証金を設けることは必要不可欠だと考えます。また、入会金に関してはバーチャルオフィス側の契約時のコストを考えれば、発生してもやむを得ないと考えることが出来るのではないでしょうか。オフィスの契約時にはそれまでの審査にかかったコストやシステムへの登録などのコストも発生します。入会金をこれらのコストに充当し、可能な限りで月額利用料金を抑えることが利用者にとって最も良質なサービスとなるのではないでしょうか。入会金が無料であれば月額利用料金でその分を回収できる仕組みになっているか、あるいは従業員の人件費などを著しく削っていることが考えられます。劣悪な労働環境で働く従業員によって提供されるサービスが良質になるわけがありません。バーチャルオフィスで良質なサービスを受けることを考えれば、入会金や保証金といった初期費用は必要経費だといえるでしょう。

    ②一括払いによる実質○ヵ月分無料

    2つ目は一括払いによる実質○ヵ月無料といったものです。バーチャルオフィスのなかには、初期費用と月額利用料金を一括払いにすることで利用料金が割引になるケースがあります。その場合、「実質○ヵ月分無料」というような表記がされることがありますが、これはおすすめできません。なぜなら、これによって恩恵を受けるのはバーチャルオフィスの運営元だからです。この一括払いによってバーチャルオフィス側にもたらされるメリットは、契約期間を長期化させるとともに、一時的に大きな収入を確保できることです。一方で利用者にとっては、一見して月払いに比べて利用料金が安くなるようには見えますが、指定の期間は契約を解除できなくなりますので、長期間そのオフィスを利用することに相当納得していない限りはあまりメリットがあるとは言えません。そもそもバーチャルオフィスを利用する人の多くは、起業時に利用したり、収入が安定して信頼を得られたら賃貸オフィスや自宅兼オフィスでの仕事を考えたりしているかと思います。この場合、長期間にわたって契約を縛られることはおすすめできません。個人的な見解ではありますが、最低契約期間は半年程度でそれ以降はいつでも退会できるバーチャルオフィスが良いのではないかと考えています。

    バーチャルオフィスの基本サービスと注意点

    バーチャルオフィスの基本サービスは起業家や個人事業主などに対し、住所をレンタルするというサービスです。いわば「住所貸し」がメインになりますので、物理的なオフィスの提供サービスはありません。ここで注意点が一つ。それは「レンタルした住所をどういった用途で利用してよいのか?」ということです。ほとんどすべてのバーチャルオフィスでは、レンタルすれば自分の名刺にその住所を記載でき、法人登記の住所として利用でき、届いた郵便物を受け取れるサービスを提供しています。しかし、これらすべてのサービスが基本料金に含まれているとは限らず、住所を法人登記に利用する場合は別途保証金やオプション料金が発生するケース、郵便物を受け取ることは出来るが自宅への転送はしてくれないケースなどがあります。また、法人登記は出来てもその住所に問題があり、ビジネスで行き詰ったり、銀行での法人口座開設が難しくなったりしてしまう場合もあるようです。それでは、「バーチャルオフィス 無料」と検索された方はどのような点からバーチャルオフィスを選べばよいのでしょうか。ここでは大きく2つ選び方を提示したいと思います。

    ①最低限度の基本サービスを利用するためには総額でいくらかかるか?

    バーチャルオフィスに求める機能は利用者によって異なるとは思いますが、最低限度のサービスとして①オフィス住所として名刺に記載できること、②法人登記にその住所を利用できることは必要だと思います。②については個人事業主として利用する方は関係ないと思われるかもしれませんが、当初予定はしていなくても法人化する可能性は決してゼロではないと思います。オフィスによっては法人化の段階で別途料金が発生したり、そもそも法人登記には使えなかったりする場合もあります。①オフィス住所として名刺に記載できること、②法人登記にその住所を利用できること、この2つを満たすための利用料金はいくらかかるのか。バーチャルオフィスを選ぶ際の材料にしてください。

    ②6か月間利用した場合に総額でいくらかかるか?

    先ほど一括払いによる実質無料はおすすめできないとしました。契約期間に必要以上の縛りが発生してしまうことはバーチャルオフィスを利用する上ではデメリットだと考えますので、最低契約期間の目安としては6か月程度であることを念頭に利用料金がいくらかかるかを比較すると良いかと思います。以前の記事でも比較したオフィスA、オフィスB、オフィスCの場合だとそれぞれ総額がいくらになるのか。改めて比較してみましょう。

    オフィスAの場合

    渋谷などでバーチャルオフィスとレンタルオフィスを運営する「オフィスA」のケースを見てみましょう。このオフィスでは「住所貸しプラン」がバーチャルオフィスプランに該当し、①オフィス住所として名刺に記載できること、②法人登記にその住所を利用できることを満たすためには下記の料金が必要になります。

    初期費用入会金25,000円、事務手数料10,000円、保証金3,000円(未払い清算)、郵送契約(個人1,500円、法人1,800円)
    月額料金基本料金9,500円

    オフィスBの場合

    中央区銀座でバーチャルオフィス、シェアオフィス、レンタルオフィスを運営する「オフィスB」のケースを見てみましょう。このオフィスでは「スタートアッププラン」がバーチャルオフィスプランに該当し、①オフィス住所として名刺に記載できること、②法人登記にその住所を利用できることを満たすためには下記の料金が必要になります。

    初期費用入会金5,000円、保証金30,000円(法人登記に住所を利用する場合)
    月額料金基本料金5,500円+法人登記利用料金3,300円

    オフィスCの場合

    千代田区九段下でバーチャルオフィス、シェアオフィス、レンタルオフィスを運営する「オフィスC」のケースを見てみましょう。このオフィスでは「バーチャルオフィスメンバー」がバーチャルオフィスプランに該当し、①オフィス住所として名刺に記載できること、②法人登記にその住所を利用できることを満たすためには下記の料金が必要になります。

    初期費用入会金15,000円、保証金30,000円(退会時に返金)
    月額料金基本料金4,500円

    オフィスA~Cの比較

    今回3つのオフィスを比較してみましたが、初期費用という点に注目すると、オフィスBが最も安くなります。また、オフィスAも期間限定で入会金無料というような対応をしているようなので、そうするとオフィスAが一番初期費用を安く抑えることが出来るでしょう。しかし、月額利用料金に目を向けるとオフィスCがオフィスAやオフィスBに比べて半額程度であることがわかり、また保証金の30,000円も退会時に返却という点を考えれば、総額料金という点ではオフィスCが最もお得になるということがわかるのではないでしょうか。詳しくは下記の表を参考にしてみてください。

    オフィスAオフィスBオフィスC
    入会時39,800円35,000円45,000円
    1か月9,500円(49,300円)8,800円(43,800円)4,500円(49,500円)
    2か月9,500円(58,800円)8,800円(52,600円)4,500円(54,000円)
    3か月9,500円(68,300円)8,800円(61,400円)4,500円(58,500円)
    4か月9,500円(77,800円)8,800円(70,200円)4,500円(63,000円)
    5か月9,500円(87,300円)8,800円(79,000円)4,500円(67,500円)
    6ヵ月9,500円(96,800円)8,800円(87,800円)4,500円(72,000円)

    (※( )内は合計金額、法人契約の場合で試算)

    まとめ -バーチャルオフィスは「無料」ではなく「総額」で選ぶ-

    ここまで、バーチャルオフィスの選び方について、「総額いくらかかるのか?」という視点で選ぶことを強調してきました。「無料」サービスをただ否定しているわけではありません。しかし、無料サービスにもおすすめできるものとおすすめできないものがあるということをしっかり認識する必要があります。バーチャルオフィスを選ぶ際は、まずは基本サービスである「住所貸し」のサービスがどのようなものなのか。少なくとも①オフィス住所として名刺に記載できること、②法人登記にその住所を利用できることを前提にオフィスの検討を始めると良いかと思います。また、今回はあまり触れていませんが、郵便物転送サービス電話転送サービスについても、同様のサービスを受けるためには「総額でいくらかかるのか?」という視点を持って検討するようにしましょう。郵便物であれば送料の実費負担や転送手数料が発生するか、受取制限や発送制限があるかなど、細かいと思うところまでしっかりと確認することをおすすめします。電話転送に関しても、転送元からの通話料は案外大きなものであり、ビジネス上そこを削減することはなかなか難しいでしょう。このような1回単位では小さい出費に対しても細かく考えることが大切だと思います。最後になりましたが、バーチャルオフィスは「無料」ではなく「総額いくらかかるのか?」で選ぶようにしましょう。

    [originalsc]

    よかったらシェアしてね!
    • URLをコピーしました!
    • URLをコピーしました!
    目次