第1章|レンタルオフィスの初期費用とは?内訳をわかりやすく解説
レンタルオフィスを契約するとき、多くの人が最初につまずくのが「初期費用って何が含まれていて、経理上どう扱えばいいの?」という点です。家賃だけでなく、さまざまな名目の費用が請求されるため、そのまま全部「地代家賃」や「雑費」で処理してしまうケースも少なくありません。
まずは、レンタルオフィスの初期費用に含まれやすい代表的な項目を整理してみましょう。
レンタルオフィスの初期費用に含まれる主な項目
- 入会金・登録料
- 保証金・敷金(デポジット)
- 事務手数料・契約手数料
- セキュリティカード・ICカード発行料
- ロッカー・ポスト利用登録料
- 内装・設備の利用開始に伴うセットアップ費用 など
一見すると、どれも「オフィスのために払っている費用」なので、全部同じように処理したくなりますが、会計・税務の世界では性質ごとに勘定科目が異なります。
契約形態によって取り扱いが変わることも
レンタルオフィスの契約は、大きく分けると次の2パターンがあります。
- 賃貸借契約に近い形態:通常のオフィス賃貸に近く、敷金・保証金が設定されるケース
- 施設利用契約(会員制サービス型):コワーキングスペースに近く、「入会金+月額利用料」という形態
契約書には「賃貸借契約」「施設利用契約」「会員規約に基づく利用契約」など、さまざまな表現が登場します。
同じ「レンタルオフィス」でも、契約の中身によっては、保証金の性質や返還条件が変わり、それに応じて勘定科目の選び方も変わります。
次の章から、具体的にどの勘定科目を使うのか、よくあるパターンを見ていきましょう。
第2章|初期費用の勘定科目はこう使う!よくある仕訳例まとめ
ここでは、レンタルオフィスの初期費用に対してよく使われる勘定科目と、その仕訳例を整理します。実務では、契約書の内容や金額、返還条件によって判断が分かれるケースも多いため、最終的には税理士や会計事務所にも確認するのがおすすめです。
保証金・敷金:将来返ってくるお金は「資産」として計上
レンタルオフィスの契約時に預ける「保証金」「敷金」「デポジット」などは、基本的に契約終了時に返還されることが予定されているため、費用ではなく資産(差入保証金)として計上します。
例:保証金として200,000円を振り込んだ場合
(借方)差入保証金 200,000 /(貸方)普通預金 200,000
返還されないことが明記されている場合や、原状回復費用の控除が確実視される場合などは、一部または全額を費用化することもあります。このあたりは契約書の文言や、退去時の取り扱いを踏まえて判断します。
入会金・登録料・事務手数料:開業前なら「開業費」、開業後なら「支払手数料」など
「入会金」「登録料」「事務手数料」など、契約締結のための手数料的な性質の費用は、次のような勘定科目がよく使われます。
- 開業前に支払った場合:開業費(繰延資産)
- 開業後に支払った場合:支払手数料 / 支払手数料に準じる費用科目
例:法人設立前にレンタルオフィスの入会金として50,000円を支払った場合
(借方)開業費 50,000 /(貸方)普通預金 50,000
例:既に営業している会社が新たにレンタルオフィスを契約し、事務手数料30,000円を支払った場合
(借方)支払手数料 30,000 /(貸方)普通預金 30,000
開業費として計上した場合は、税務上、一定のルールのもとで任意償却(まとめて費用化)することができます。
カードキー発行料・設備関連:少額なら「消耗品費」、金額が大きければ「器具備品」など
セキュリティカード・ICカード発行料、ロッカーキー作成料などは、1件あたりの金額が小さいことが多く、消耗品費で処理するケースが一般的です。
例:セキュリティカード発行料として5,500円を支払った場合
(借方)消耗品費 5,500 /(貸方)現金 5,500
ただし、金額が大きく、耐用年数もある設備(専用ロッカーや什器等)を購入する場合には、器具備品として固定資産計上することもあります。
消費税の取り扱いにも注意
- 保証金・敷金:基本的には非課税(預かり金的性質)であり、消費税の対象外
- 事務手数料・入会金・カード発行料:一般に課税取引(消費税の対象)
請求書に「消費税額」「税込・税抜」の記載があるか、契約書にどのような記載があるかを確認し、インボイスにも対応した形で経理処理を行うことが重要です。
第3章|注意!レンタルオフィスならではの会計・税務リスク
レンタルオフィスは、柔軟で便利な一方、会計・税務上のリスクや注意点も存在します。ここでは、特に起業初期に見落としがちなポイントを整理します。
① 保証金の返還条件があいまいな契約に要注意
契約書によっては、保証金の一部が「原状回復費用に充当される」といった形で、実質的に戻ってこない可能性が高いケースがあります。この場合、全額を差入保証金とするのではなく、あらかじめ費用として見込むべきか検討が必要です。
また、解約のタイミングによって返還額が変動するケースもあるため、「いつ・いくら返ってくる予定なのか」を把握し、資金繰り計画にも反映させておくと安心です。
② 住所貸し色が強い契約は、実態の説明を求められることも
レンタルオフィスによっては、「実際にはほとんど利用しておらず、住所だけ借りている」状態になることもあります。
その場合、税務調査等で次のような点を確認されることがあります。
- 従業員や代表者が、そのオフィスで実際に業務を行っているか
- 取引先との商談・打ち合わせに利用しているか
- 郵便物や電話対応など、実態としてオフィス機能があるか
会議室の利用履歴や、スタッフの勤務実態、郵便物の取り扱いの記録など、実態を説明できる材料を残しておくと安心です。
③ 追加費用が多く、固定費がふくらみやすい
レンタルオフィスは、基本料以外に次のようなオプション費用が発生することも多くあります。
- 会議室の時間貸し料金
- ロッカー・ポスト・専用電話番号のオプション料金
- 郵便物転送手数料
見積もりでは「月額〇万円」と聞こえが良くても、実際に利用を始めてみると、想定以上に固定費がふくらみ、開業初期のキャッシュフローを圧迫することがあります。
こうした事情を考えると、「実際に個室やスペースが本当に必要なのか?」は一度立ち止まって考える価値があります。
もし「住所さえあれば業務はできる」という業種であれば、次章で紹介するようなバーチャルオフィスの活用も有力な選択肢になります。
第4章|コスト最適化ならバーチャルオフィスも検討を!安く・柔軟に始める選択肢
近年は、レンタルオフィスだけでなく、住所利用と郵便物転送を中心とした「バーチャルオフィス」を活用する起業家も増えています。とくに開業初期は、売上が安定していない中で固定費をいかに抑えるかが重要なテーマになります。
レンタルオフィスとバーチャルオフィスのコスト比較イメージ
一般的なイメージとして、レンタルオフィスとバーチャルオフィスの違いを簡単に比較すると、次のようになります。
| 項目 | レンタルオフィス | バーチャルオフィス |
|---|---|---|
| 初期費用 | 入会金・保証金などで数万円〜 | 入会金なし or 数千円程度のことが多い |
| 月額費用 | 3万円〜10万円程度(個室の場合) | 数百円〜数千円程度 |
| 利用できる設備 | 専用デスク・個室・共有スペース | 基本は「住所利用」+オプション会議室など |
| 法人登記 | 対応可のサービスが多い | 法人登記OKのサービスも多数 |
| 郵便物転送 | オプション対応の場合が多い | 週1回など定期転送付きプランが主流 |
「来客対応や常駐勤務が前提」のビジネスであればレンタルオフィスが有力候補になりますが、
IT・クリエイティブ・コンサルなど、リモート前提で仕事が完結する業種であれば、バーチャルオフィスで住所だけ確保するという選択肢は非常に合理的です。
開業初期はバーチャルオフィス → 事業拡大後にレンタルオフィスへ
おすすめの考え方は、次のようなステップです。
- 開業初期:バーチャルオフィスで住所と登記、郵便物の受け取りだけを低コストで確保
- 売上・組織拡大後:必要に応じてレンタルオフィスや専用の賃貸オフィスへ移行
こうすることで、いきなり高額な固定費を背負うことなく、事業の成長に合わせてオフィス形態をアップデートしていくことができます。
信頼できるバーチャルオフィス選びのポイント
バーチャルオフィスを選ぶ際は、料金の安さだけでなく、次のような点に注目すると安心です。
- 法人登記に正式に対応しているか
- 郵便物転送の頻度・料金体系が明確か
- 長年運営されている実績があり、トラブル情報が少ないか
- 必要に応じて会議室や来客対応も利用できるか
- 契約書・利用規約の内容が分かりやすく、住所の利用範囲が明確か
レンタルオフィスの初期費用をどう仕訳するかを押さえたうえで、「そもそも本当にレンタルオフィスが必要なのか?」を考え直してみると、より自社に合った低コストな選択肢が見えてきます。
開業時のキャッシュは、オフィスだけでなく、マーケティングや採用、プロダクトづくりなど、事業の成長に直結する部分に優先的に投資したいところです。
その意味でも、「レンタルオフィスの初期費用」と「バーチャルオフィスという選択肢」をセットで比較検討しておくことをおすすめします。
東京でおすすめのバーチャルオフィス紹介
東京でおすすめのバーチャルオフィスは、「バーチャルオフィス1」です。
月額880円で法人登記、月4回の郵便転送が可能なプランは圧倒的なコスパだといえます。
東京の渋谷区と千代田区(2025年6月オープン)に拠点を持っており、新規の法人設立や個人事業主としての開業にも最適です。
お申込みはこちらから!

