ビジネスレベルに合わせたバーチャルオフィス選び

この記事に辿り着いた皆様の多くはバーチャルオフィスの利用を検討していることでしょう。しかし、同時にバーチャルオフィスに対して次のような不安を持っているのではないでしょうか?

「バーチャルオフィスが多すぎてどこのオフィスを選んでよいかわからない…。」

「バーチャルオフィスの選び方にはコツがあるのか?」

「そもそもバーチャルオフィスは自分のビジネスに適しているのか?」

さて、この記事を読んでいただければ、あなたのビジネスレベルに合わせたバーチャルオフィスがどこなのか、数あるバーチャルオフィスのなかからどのようなオフィスを選べばよいのか、といったポイントを掴むことができます。そのため、この記事を最後までご覧いただき、自分のビジネスレベルに合ったバーチャルオフィス選びのポイントを押さえていただければと思います。

目次

提供しているサービスが自分のビジネスとマッチしているか?

バーチャルオフィスは「ビジネス用の住所」をレンタルするサービスになりますが、郵便物の受け取りや転送サービス、電話転送や秘書代行サービス、貸し会議室サービスなど、付随するサービスを提供することが一般的です。ところが「ビジネス用の住所」をレンタルすること以外のサービスに関しては、運営事業者によってサービス内容の差が大きく、バーチャルオフィスと一括りにするのが難しい実態があります。そのため、バーチャルオフィスを選ぶにあたっては、まず提供しているサービスが自分のビジネスとマッチしているかをしっかり検討する必要があります。それでは、実際にいくつか重要なポイントを個別にみていきたいと思います。

(1)バーチャルオフィスの住所で法人登記ができるか?

最も重要だと考えているポイントは、「バーチャルオフィスの住所で法人登記ができるか?」ということです。当初は個人事業主として創業される方も将来的に事業を法人化させる可能性がゼロというわけではありません。そのため、あらかじめ法人化した場合にも同じ住所で法人登記ができる環境を整えておくことが賢明だと思います。バーチャルオフィスのなかには法人登記で住所を利用できないケースや、利用することはできるが別途手数料や月額料金が発生するオフィスもあります。そのため、可能な限り個人事業主としての利用料金に追加請求がなく、法人登記ができるバーチャルオフィスと契約することをおすすめします。

(2)郵便物の来館受け取りの可否や転送頻度について

バーチャルオフィスの郵便物受け取りや転送サービスに関しても運営事業者によって大きな差があります。例えば、スタッフが常駐している有人営業のオフィスの場合、簡易書留などのサインが必要な郵便物をバーチャルオフィスのスタッフが代理で受け取ってくれたり、大きいサイズの荷物や食品類など代理で受け取れないものが届いた際に不在票などで対応してくれたりといったことが可能になるでしょう。しかし、無人営業のオフィスの場合、こうした郵便物や不在票の受け取りは難しくなるでしょう。また、有人営業であっても多店舗展開をしているオフィスなどでは、郵便物の仕分けをオフィスで行っていない場合もあり、オフィスでの郵便物の受け取りにタイムラグが生じたり、そもそも契約しているオフィス(支店)では郵便物を受け取れず、本店まで取りに行かなければならなかったりするケースがあります。

郵便物の転送に関しても運営事業者によって対応は様々です。月1回の転送が標準サービスのオフィスもあれば、週1回の転送が標準サービスのオフィスもあります。依頼時にスポットで転送してくれるオフィスもあれば、即日で転送するオプションを用意しているオフィスもあります。郵便物の転送にあたって手数料や実費が発生するオフィスもあれば、発生しないオフィスもあります。とにかく自分のビジネスにとって最適な郵便物の受け取りや転送サービスを提供しているバーチャルオフィスを選ぶと良いでしょう。

なお、郵便物の受け取りや転送サービスはバーチャルオフィスのなかでも特に重要な要素となります。Googleのクチコミやネット上の評判などを検索し、何かトラブルがないかを事前に確認しておきましょう。いくら安い料金でも郵便物が手元に届かない代償は大きいので、しっかり調べるようにしてください。

(3)電話転送や電話秘書代行サービスについて

固有の電話番号を取得し携帯電話などに電話を転送してくれる電話転送サービスや、専用のオペレーターが電話に対応してくれる電話秘書代行サービスを提供しているバーチャルオフィスがあります。基本のプランにオプションとして追加できるケースもあれば、これらがもともとプランに含まれているケースもあります。自分のビジネスにとって、電話転送や電話秘書代行のサービスが本当に必要かどうかを検討してから利用すると良いでしょう。特にあらかじめプランに含まれているものだと、不要になった際にも電話転送や電話秘書代行のサービスだけを外すことができない場合もあります(事実上は利用していないのに利用している分の請求額を支払うことになります)。そのため、自分のビジネスにとって今後も絶対に必要だとは言い切れないが、創業時には必要だというケースなどは、オプションとして電話転送や電話秘書代行を月単位で追加や解約できるオフィスを選んだほうが賢明でしょう。

電話転送や電話秘書代行のサービスの失敗例として次のようなケースがあります。

・当然03からの番号だと思っていたら050から始まる番号を付与された

・営業電話が転送されてくることが多いのに通信料は都度請求された

・秘書代行の対応があまりよくなくビジネス機会を喪失した

・秘書代行を取り扱っていたが外国語に対応していなかった

自分自身が何のために電話転送や電話秘書代行のサービスを利用するのかという点を明確にしたうえで、バーチャルオフィスが提供するサービスは自分のビジネスにマッチするかをしっかり検討することをおすすめします。特に電話転送や電話秘書代行サービスは、バーチャルオフィスの事業者以外と契約することも可能ですので、自分のビジネスに合わないサービスを選ばないように気を付けましょう。

(4)貸し会議室サービスについて

クライアントとのちょっとした打ち合わせなどで会議室スペースを利用したい場合、貸し会議室の提供を行っているバーチャルオフィスはとても便利です。都心に貸し会議室があるケースであればなおのこと便利だといえます。しかし、バーチャルオフィスのプランでは利用時間や予約件数などに制限があったりするケースや、そもそも用意されている部屋数に対して会員数が多すぎて実質的に利用することが困難なケースなどもあります。そのため、クライアントとの打ち合わせなどがある程度発生しそうな場合、会議室の部屋数が同じ場所にある程度確保されているバーチャルオフィスを選ぶと良いでしょう。特に個室や半個室といったタイプや、定員数のバラエティが豊富な会議室を用意しているオフィスのほうが、利用用途に応じて部屋を選べますので、クライアントからの信頼度も高まるでしょう。

なお、打ち合わせスペースの利用ニーズは創業前に想像している以上に発生します。そのため、自宅の応接室や別途会議室スペースを確保している場合を除けば、貸し会議室サービスのあるバーチャルオフィスを選ぶことが賢明と言えるでしょう。

(5)ワークスペースの利用について

打ち合わせのついでや、気分転換をして仕事をしたいときにワークスペースを利用できるかどうかも重要なポイントになる人もいると思います。シェアオフィスやコワーキングスペースなどをバーチャルオフィスと同時に運営しているオフィスの場合は、ドロップイン(利用時に課金)といった形で利用できる場合があります。そのため、自分のビジネスにとってワークスペースの有無は重要だと考える方は、こうしたワークスペースの利用が可能なオフィスを選ぶと良いでしょう。

(6)その他のサービスについて

バーチャルオフィスによっては、法人登記の代行サービス、法人口座の開設サポート、会計サービス、ホームページ制作代行サービス、メンター制度など、様々な形で利用者のビジネスをサポートしてくれるところもあります。あくまで利用する住所や郵便物の受け取りや転送といった基本的なサービスがメインとなりますが、それ以外の部分で受けたいサポートを受けられるオフィスがあれば、利用を検討してみても良いでしょう。

法人登記の代行サービス

法人登記の手続きは一生に一度経験するかどうかといっても過言ではありません。しかし、手続きは複雑であり、個人で行う場合にはそれ相応の時間的負担が発生します。一方で、司法書士に依頼するとなると経済的な負担が発生することから、どちらを取るべきか、悩む方も多いと思います。バーチャルオフィスが提供する法人登記の代行サービスでは、提携の司法書士を紹介する形で、相場で司法書士に代行をお願いするよりも割安で登記を行ってくれるケースがあります。経済的な負担を抑えつつ、時間的にもスムーズに登記代行ができるのであれば、利用するメリットは大きいと考えます。

法人口座の開設サポート

法人口座の開設についても多くの方が頻繁に経験することではないため、サポートを受けられることはメリットだと思います。いくつかのバーチャルオフィスの事業者は、法人口座の開設ができなかった場合に初期費用や基本料金などの返金を行う、開設にあたってのリスク補償をしてくれるプランを提供しています。これらのサービスを提供するということはバーチャルオフィスの事業者がそれだけ法人口座の開設にあたって知見があり、自信があることの裏返しではないかと感じます。特に新設法人で口座を開設するにあたっては、金融機関側も情報量の少なさから開設に対して消極的になるケースもあります。こうした姿勢に対して、どのような資料を準備するべきか、どのような対策を取るべきか、といった点に関しての情報が集約されているバーチャルオフィスを選べば、同じバーチャルオフィスであっても口座開設にプラスに働くことは間違いありません。ぜひ、法人口座の開設に重きを置く方は口座開設に関する保証制度があるバーチャルオフィスを選ぶとよいでしょう。

参考:法人口座開設保障のあるバーチャルオフィス

会計サービス

会計サービスについてもバーチャルオフィスと提携する税理士と顧問契約を結ぶことで相場よりコストを抑えて会計業務を代行できる場合があります。本業である程度の収益が見込める場合は会計業務に割く時間を少しでも削減するべきだと思いますので、思い切って顧問契約を結んでみるとよいのではないでしょうか。

ホームページ制作代行サービス

ホームページは近年では名刺以上に重要だと言われています。個人で制作するためのツールも低価格で提供されてはいますが、本格的なホームページを制作するにはある程度の専門性と時間が必要になります。バーチャルオフィスと提携のあるホームページ制作会社に依頼できるのであれば、依頼してしまったほうが本業に割く時間を確保できますので、利用をおすすめします。

 

必要以上のコストをかけずに利用できるか?

多くの人はコストを削減する目的でバーチャルオフィスの利用を検討しているかと思います。しかし、バーチャルオフィスの利用料金は初期費用、月額料金、オプション料金、都度発生する手数料や実費など、全体像が見えにくくなっていることも事実であり、当初の想定よりも料金が多くかかってしまったという失敗談も多く耳にします。また、コスト削減に重きを置きすぎた結果、ずさんなサービスを利用することになり、経済的なコスト以上の犠牲を払うことになってしまったという失敗談も耳にします。そのため、必要以上のコストをかけずに、しっかりとしたサービスを提供しているバーチャルオフィスを利用するために重要なポイントをいくつか整理していきたいと思います。

(1)初期費用について

初期費用としては入会金や保証金といった名目で発生する場合があります。入会金に関しては会員からの紹介や期間限定で半額になっていたり、無料となっていたりするケースがあります。なお、個人的には入会金を期間限定で無料という表記で会員を募集しているオフィスはあまりおすすめできません。このような形で割安感を出さなければ会員が集まって来ないと言い換えることもできるからです。一個人の見解ですが、正規の入会金を徴収しているバーチャルオフィスのほうが信頼度は高いと感じます。

保証金に関しては決済が滞った際の一時金として利用したり、電話転送オプションの通話料のデポジットとして徴収したりするケースがあります。前者の場合は退会時に返金されることが多いようですが、後者の場合は当初のデポジットは返金されないケースがほとんどです。利用者に一定の信頼度を求めたり、決済不良によるバーチャルオフィスそのものの倒産リスクを回避したりするためには当然入金を求められるべき費用だと考えます。

 

(2)月額の基本料金について

月額の基本料金は総額の安さではなく、提供されるサービスに見合っているかといった観点で検討するようにしましょう。例えば、法人登記をする場合には別途手数料や月額の料金が発生するケースや、郵便物の代理受取で手数料が発生したり、転送する際に手数料や実費が都度発生したりするケースでは、月額の基本料金が安くても実際に負担する費用の総額がかなり大きなものになることもあります。そのため、月額の基本料金は価格ではなく、提供されるサービスに見合っているかという点を重視するようにしましょう。

 

(3)オプション料金について

オプション料金も月額の基本料金と同じく、提供されるサービスに見合っているかという観点で検討しましょう。また、オプションに関しては追加や解約が短い期間でできるバーチャルオフィスがおすすめです。電話転送サービスや電話秘書代行サービスの項目でも触れましたが、創業時には必要だと感じたサービスが時間の経過とともに不要になる場合もあります。また、自分のビジネスの都合によって郵便物の転送頻度を高めたい時期が発生したり、オフィスに直接取りに行くことができるので転送サービス自体が不要になったりといったことは当然考えられることですので、自分のビジネスの都合に合わせて柔軟に対応できるオフィスがおすすめです。

 

(4)その他発生する手数料実費について

バーチャルオフィスを利用する上での究極の理想は、初期費用、基本料金、オプション料金以外に費用が発生しないことです。毎月の支払料金が明確になっていればいるほど良心的なオフィスといえるでしょう。オフィスコストは固定費ですので可能な限り変動がないことがビジネスを行う上でもプラスになると考えられます。そのため、下記に例示するような手数料や実費が発生するオフィスはあまり良心的とは言えませんので、おすすめしません。

・法人登記での住所利用に伴う手数料

・郵便物全般の受け取りに伴う手数料

・簡易書留などサインが必要な郵便物の受け取りに伴う手数料

・毎月や毎週の郵便転送に伴う郵送料(実費)

・電話転送に伴う通信料(実費)

 

信頼感を得られる立地にあるか?

バーチャルオフィスを利用する場合、コストが安ければどこの立地でも、どのような住所表記でもよいという人は少ないでしょう。また、どこでもよいとお考えの方も一度その考え方は改めた方が良いかと思います。住所が与えるクライアントに与える印象、実際の立地が訪問者に与える印象は大きなものです。同じ東京都の住所であっても、同じく東京都にあるバーチャルオフィスであっても、受け取り側の視点に立てばその印象に左右されることは理解できると思います。そのため、バーチャルオフィスを利用する際に住所や立地で気を付けるべきポイントをいくつか整理していきたいと思います。

(1)住所の信頼度

同じ東京都にあるバーチャルオフィスであっても、23区の住所と市町村の住所では与える印象が変わってくることは想定できると思います。また、同じ23区であっても、千代田区、中央区などはビジネス街のお堅い街という印象を与えるでしょうし、文京区であれば教育の街、港区や渋谷区であればおしゃれな街というような印象を与えるでしょう。このように利用する住所だけであなたのビジネスのイメージは大きく変わります。特に官庁や大企業との取引を今後想定しているビジネスであれば、千代田区や中央区といった住所は印象的な面でプラスの印象を与えることになるでしょう。まずは、自分がビジネスを行うにあたってどのような印象を相手に与えたいかという点をしっかり考え、バーチャルオフィス選びをするとよいでしょう。どのような業種であっても信頼度という要素は重要なものですので、個人的には信頼度といった観点から千代田区の住所を選ぶことをおすすめしています。

また、ビル名やフロア名といったことも重要なポイントになってきます。例えば、「●●オフィスビル」と「コーポ●●」という名称ではどちらがビジネスに最適か、言うまでもないと思います。「●●ビル△△フロア」と「●●ビル△△△号室」とではどちらの方がビジネスに最適か、言うまでもないでしょう。居住用の住所ではなく、ビジネス用の住所としてバーチャルオフィスは利用するわけですので、ビジネスを行う場所であるというイメージを与える住所を選ぶことをおすすめします。なお、ビル名は金融機関や旧財閥系企業の名称が使われていれば信頼度が高まること間違いないですので、そのような観点からバーチャルオフィスを探すとよいでしょう。

 

(2)立地の信頼度

住所表記の次に重要なポイントは実際の立地です。同じ千代田区にあったとしても、表通りに面しているオフィスビルか、裏通りにある雑居ビルかという点ではクライアントに与えるイメージが大きく変わってきます。近年では住所名を検索することで、Googleマップなどで建物の画像も確認することができます。そのため、自分がビジネスに利用する住所というのは多くの人から調べられるものだという感覚を持つことが大切です。検索して出てきた住所の画像が古びたオフィスビルだったりした場合、あなたはどのような印象を受けるでしょうか。おそらくクライアントもあなたと同じような印象を受けることになるでしょう。そのため、住所表記と立地は両方とも事前に検索したうえで、バーチャルオフィスを探すことをおすすめします。

 

 

バーチャルオフィスでは開業が難しいビジネスについて

ビジネスによってはバーチャルオフィスの住所を利用しての開業が難しい場合もあります。ここでは、バーチャルオフィスでは開業が難しい業種について整理をしていきたいと思います。

(1)一部の士業では開業が難しい?

バーチャルオフィスはあくまでビジネス上の住所をレンタルするサービスになりますので、許認可にあたって実際の作業スペースなど事務所としての要件を満たすことが必要な業種では開業が難しい場合があります。士業では、弁護士、税理士、司法書士などは一般的にバーチャルオフィスでの開業は難しいといわれています。しかし、実際では弁護士業であってもバーチャルオフィスが事務所として許認可が下りているケースもあるようですので、弁護士会や税理士会などに詳細は問い合わせてみるとよいでしょう。また、士業であっても、中小企業診断士、弁理士、会計士、社会保険労務士などは問題なく開業できるようです。

 

(2)一般派遣業(有料職業紹介業)では開業が難しい?

一般派遣業(有料職業紹介業)は、開業にあたって一定以上の事業所面積、個人情報を保持できる構造、事業所の位置が適切な場所にあるかどうかなど、労働局から認可を受ける必要があります。要するに占有の個室スペースが必要になるということです。そのため、バーチャルオフィスでは一般的には開業が難しいとされます。ただし、職業紹介に関する業務がオンラインなど対面で接触をせずに完結する場合、バーチャルオフィスでも開業が可能であるとされます。こちらに関しても開業前に労働局に確認をするとよいでしょう。

 

(3)宅地建物取引業(不動産業)では開業が難しい?

宅地建物取引業(不動産業)は、開業にあたって専用の出入り口が確保されていることや、独立して常駐可能なオフィススペースを有することなどの規定をクリアしなくてはならないため、バーチャルオフィスでの開業は難しいとされます。ただし、バーチャルオフィスの住所をビジネスに生かすといった観点では、自宅が事務所スペースとして利用できるのであれば、自宅とバーチャルオフィスを併用する形でビジネスを行うことは可能でしょう。

 

(4)金融商品取引業では開業が難しい?

投資運用業、投資助言・代理業など、投資関係の業務を行う場合には財務局から金融商品取引業者の登録を受ける必要があります。この際、営業所内に法律で定められた標識を掲げる必要があり、財務局によっては賃貸借契約書の提出を求められたりする場合があるため、利用契約であり標識を掲げることが難しいバーチャルオフィスでは開業が難しいといわれています。なお、宅地建物取引業(不動産業)と同じように営業所となる事務所を別途構えたうえで、バーチャルオフィスを利用することは可能ですので、この選択肢も検討するとよいでしょう。

 

(5)古物商では開業が難しい?

リサイクル業など中古品の売買を行う古物商は、商品や在庫を置く場所や出荷場所の住所を公安委員会に提出し、認可を受けなければ開業できませんので、バーチャルオフィスでの開業は難しくなっています。なお、本社住所がバーチャルオフィスの住所であっても、別途事務所を借りてそちらを営業所として届け出る場合などでは、公安委員会からの認可が下りるようなので、バーチャルオフィスとは別に事務所を用意することで開業は可能になります。

 

(6)探偵業では開業が難しい?

探偵業はプライバシーなど他人の権利を侵害する可能性がある業種のため、開業にあたっては警察に届け出て、公安委員会から「探偵業届出免許証」の交付を受け、営業所内の見やすいところに掲示しなければなりませんので、バーチャルオフィスでの開業が難しいとされます。また、バーチャルオフィス側も業務の性質上どうしてもトラブルが発生しやすい業種であるため、今後届け出のあり方が変わったとしても、あまり積極的には受け入れないのではないかと考えられます。

 

(7)廃棄物処理業(不用品回収業)では開業が難しい?

廃棄物処理業(不用品回収業)を開業するにあたっては、一般廃棄物収集運搬業の認可が必要ですが、基本的に実体のある事務所が必要になります。また、事業計画を提出する必要があり、事業に使う施設の図面などの提出も求められるので、バーチャルオフィスで許可を得るのは難しいと考えられます。なお、ゴミとして回収せずに中古品として販売する場合でも古物商としての認可が必要ですので、バーチャルオフィスのみで事業を始めることは難しいでしょう。

 

(8)建設業では開業が難しい?

建設業は国や都道府県からの許可がなければ開業できませんが、建設業許可を受ける必要がない軽微な工事を請け負う場合は特に認可が必要ありません。そのため、軽微な工事を行う事業者に関してはバーチャルオフィスでも開業が可能といえるでしょう。なお、建設業の許認可に関してはエリアによって認可の基準が多少異なるというような情報もあるため、バーチャルオフィスとの契約前に必ず調べておくとよいでしょう。

 

(9)風俗営業では開業は難しい?

バーやパチンコ店、ゲームセンターなど風俗営業許可が必要な風俗営業では、営業施設の立地に関する要件を満たすことが必要ですので、バーチャルオフィスでの開業は不可能だといえます。なお、性風俗に関する性風俗特殊営業の許可を得るにも実体のある事務所が必要となりますので、バーチャルオフィスで営業すると違法になります。そもそも、風俗営業に関してはバーチャルオフィス事業者が利用を強くお断りをしている実態がありますので、許認可の要件が変わったところで、バーチャルオフィスを利用することが難しいと考えられます。

 

 

まとめ

バーチャルオフィスを利用する目的はビジネス用の住所を確保するといった部分以外は利用者によって様々だと思います。バーチャルオフィスを利用したり、あるいはシェアオフィスやコワーキングスペースに移転したり、賃貸オフィスを構えたりと自分自身のビジネスの成長度合いに合わせて求めるオフィスのレベルも変わってくることでしょう。バーチャルオフィスを利用するにあたっては、まず自分のビジネスにバーチャルオフィスが適しているかどうかを見極めましょう。許認可などの関係でそもそも開業に適さないケースはもちろん、業種によっては住所価値があまり求められないこともあるでしょう。ただし、自分自身のビジネスにバーチャルオフィスの利用が適すると判断するならば、バーチャルオフィス選びは慎重に行いましょう。重要なポイントは自分のビジネスには住所以外にどのようなサービスが必要か整理すること、提供されるサービスと支払う料金が見合ったものになっているか検討すること、利用する住所の表記、立地ともに信頼に値するものであるかどうか調べることです。こちらの記事を参考に自分にとって最適なバーチャルオフィスを選んでいただければと思います。最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。この記事が皆様のバーチャルオフィス選びに役に立つことはもちろん、皆様のビジネスの成功にもつながれば幸いです。

[originalsc]

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次