この記事に辿り着いた皆様の多くはバーチャルオフィスの利用を検討していることでしょう。しかし、同時にバーチャルオフィスに対して次のような不安を持っているのではないでしょうか?
「バーチャルオフィスの住所で本当に銀行の法人口座は開設できるのだろうか?」
「バーチャルオフィスの住所ということだけで法人口座の開設を断られてしまうのではないか?」
「バーチャルオフィスの住所での口座開設お断りと明言している銀行があると聞いたことがあるのだが…」
さて、この記事を読んでいただければ、バーチャルオフィスの住所を利用して銀行の法人口座を開設する際のポイントをご理解いただけるかと思います。結論から申し上げると「バーチャルオフィスの住所を利用して法人口座の開設をすることは可能」です。ただし、すべてのバーチャルオフィスの住所で開設できるわけではなく、すべての銀行(金融機関)で口座開設がスムーズにいくわけではありません。そのため、この記事を最後までご覧いただき、バーチャルオフィスの住所を利用して銀行で法人口座を開設する際のポイントを押さえていただければと思います。
目次
バーチャルオフィスの住所で銀行の法人口座を開設できないケースとは?
冒頭で「バーチャルオフィスの住所を利用して法人口座の開設をすることは可能」と明言しましたが、同時に開設できないケースもあるということをお伝えしました。それでは、まずバーチャルオフィスの住所で銀行(金融機関)の法人口座が開設できないケースについてまとめていきたいと思います。
ケース1「バーチャルオフィスお断りの金融機関がある!?」
1つ目のケースは金融機関側の問題です。金融機関によってはバーチャルオフィスの住所を利用した法人口座開設をあらかじめ断っていたり、口座開設に対して消極的なスタンスだったりするケースがあります。そのため、このような金融機関を選んでしまうと一生懸命に下準備をしたとしても法人口座は開設できません。
そもそも、なぜバーチャルオフィスの住所を利用した法人口座の開設を断っている金融機関があるのでしょうか。背景には2008年3月に全面施行された犯罪収益移転防止法や、2011年に警視庁が全国銀行協会とゆうちょ銀行に法人口座開設の際に行う審査の厳格化を求めたことがあります。犯罪収益移転防止法は金融機関等の取引時確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出の義務など、資金洗浄及びテロ資金供与対策のための規制を定める法律で、国際的に拡大する麻薬などの不正取引をはじめとする組織的な犯罪や、これらの犯罪から得た資金の出所や本当の所有者をわからなくさせるマネー・ローンダリングを防止する目的で制定されました。従来、日本の資金洗浄対策の柱となる法律は本人確認法と組織的犯罪処罰法の2つでしたが、本人確認法と組織的犯罪処罰法の第5章を一本化することで犯罪収益移転防止法が制定され、反社会的な活動をする組織の資金源を断つ取り組みが進められました。しかし、金融機関が法人口座開設の際に顧客に求める情報が法人の名称および本店または主たる事務所の所在地、来店者の氏名、住居および生年月日の確認だけだったため、反社会的な活動をする組織の法人口座の開設に歯止めがかかりませんでした。こうしたなか、2011年に警察庁は投資詐欺、未公開株詐欺、振り込め詐欺などで悪用された法人口座の約20%以上がバーチャルオフィスの住所に登記されたものであったことを発表しました。その結果、金融機関は警戒感を強め、バーチャルオフィスの住所を利用した法人口座開設に対して消極的になったと考えられています。かなり厳格な事例としては住信SBIネット銀行がホームページ上で「バーチャルオフィスの住所を利用した法人口座開設はお断り」と公開していたこともあります(現在はこちらの表記に関してホームページ上では確認できませんでした)。少なくとも2010年代以降、バーチャルオフィスの住所を利用した法人口座開設について金融機関側がかなり警戒感を強めたことは想像できるかと思います。犯罪収益移転防止法ですが、2008年3月の全面施行後、幾度か改正がなされ、2013年4月には法人口座開設時に開示を求める情報として、法人の名称および本店または主たる事務所の所在地、来店者の氏名、住居および生年月日の確認に加え、取引を行う目的、事業内容、25%超の議決権(株式等)を取得されている方の有無、いる場合にはその方の氏名、住居および生年月日の確認も加わりました。また、2016年10月には本人確認の身分証明書に証明写真のないもの(健康保険証など)を使用する場合、証明する書類を2点以上提示することも義務づけられました。
以上のように、反社会的な活動をする組織にバーチャルオフィスの住所が悪用されたことをきっかけに金融機関側は法人口座開設にあたってバーチャルオフィスの住所利用を警戒するようになりました。ただし、法改正に伴って、金融機関側も法人口座開設時に本人や法人情報の確認をきっちり行うようになり、またバーチャルオフィスの利用そのものが増加していることもあることから、バーチャルオフィスの住所利用という点だけで口座開設を断る金融機関は減ってきていると言えるでしょう。
参考①:一般社団法人全国銀行協会 重要なお知らせ 犯罪収益移転防止法に関するよくある質問・回答
ケース2「契約したバーチャルオフィスの住所が汚れている!?」
2つ目のケースは契約したバーチャルオフィス側の問題です。先ほどバーチャルオフィスが投資詐欺、未公開株詐欺、振り込め詐欺などで悪用されてきたことを説明しましたが、一度反社会的な活動をする組織に住所を利用されてしまうと、その住所を利用した法人口座開設のハードルが上がると言われています。こちらに関しては断言することはできませんが、審査する金融機関側の立場になれば、利用する住所も審査対象となることは充分にあり得ることだと思います。例えば、利用するバーチャルオフィスの住所に反社会的な活動をする法人が登記されていると、自分がまっとうなビジネスを行っていてもその法人との関連性を疑われてしまうこともあるでしょう。なお、法人登記の移転や抹消を第三者が行うことはできませんので、反社会的な活動をする法人自らが行わなければなりません。しかし、このような法人は代表や株主などと連絡がつかないことが多く、登記を外すことはほとんど困難な場合が多いと考えられます。つまり、一度反社会的な活動をする法人が登記してしまった場合、そのバーチャルオフィスの住所にほとんど永久的に残り続けることになってしまうと考えて良いと思います。
さて、どのようなバーチャルオフィスに反社会的な活動をする組織が入居しやすいのでしょうか。こちらに関しては入会時の審査体制の緩いバーチャルオフィスが利用されやすい傾向があります。具体的にはホームページの申込フォームに必要事項を入力するだけで即日入会できてしまうようなバーチャルオフィスです。バーチャルオフィスはビジネス用の住所をレンタルするサービスであることから、レンタルオフィスやシェアオフィス、コワーキングスペースといった物理的な空間を提供するオフィスよりも低価格で利用することが可能です。低価格なサービスであるということは、事業者側はいかにコストをかけずに利用者数を増やすことができるかという点を考えます。そのため、入会時の審査にコストをかけず、入会者数を増やすことを重視してしまうことが考えられ、審査が形式的かつ形骸化してしまう傾向があります。本人確認に関して公的な書類のコピーなどの提出を義務付けていたとしても、ホームページ上の申込フォームから提出するだけでは、実際に当人が利用するかどうかを判断することは難しいでしょう。事業内容について書類の提出を求めるところもあるようですが、事前に用意できるものであるため、本当は反社会的な活動をする組織であってもある程度体裁を整えた資料を準備することは可能です。よって、入会時の審査体制が緩いバーチャルオフィスと契約してしまうと、反社会的な活動をする組織と同じ住所を利用することにつながりかねません。
それではどのようなバーチャルオフィスを審査体制が厳重であると考えるべきでしょうか。こちらは個人的な見解とはなりますが、入会時に対面審査を実施しているバーチャルオフィスは審査体制が厳重であると言えるでしょう。反社会的な活動をする組織であれば、入会時に真の契約者が素性をさらすことを毛嫌いする傾向があるかと思います。また、入会時に別の契約者を立てたとしても、法人契約への切り替え時に代表者と再度面談することが必須とされているようなオフィスであれば、自らの素性を隠してビジネスを行うことが難しくなります。そのため、ホームページ上の申込フォームから即日入会可能なオフィスがあるにも関わらず、わざわざ対面審査を実施しているオフィスを選ぶことはしないとも考えられるので、対面審査を実施しているバーチャルオフィスは審査体制が厳重であるということができるかと思います。
ケース3「本人や事業内容に問題があるケース!?」
3つ目のケースは本人や取り組む事業内容に問題があるケースです。金融機関の審査担当者も人間ですので、口座開設に来店された方の対応なども審査材料になるかと思います。特に取り繕う必要はありませんが、言動が社会人としてのマナーに反するような方にあえて口座開設を勧めたい担当者はおそらくいないので、面談時間を守ること、提出書類を不備なく準備すること、TPOに合わせて服装など、最低限のマナーは意識してもらえればと思います。
事業内容に関しては自分の伝え方や相手側からの捉えられ方を意識することが重要だと思います。例えば、飲食店の経営を行うにも関わらず資本金が1万円となっている場合、物件の家賃や内装費はもちろん、食材の仕入れなどが難しいのではと判断されてしまうでしょう。飲食店に限ることではありませんが、資本金が少ないことで信用力がない法人と判断されてしまうケースは充分にあり得ますので、自分の事業に見合った資本金に設定することが重要です。
また、新規で法人を設立する際、将来を見越して定款の目的に様々な項目を記載する場合もあるかと思いますが、あまりに関連性のない事業が羅列されていたり、核となる事業が何であるかを判断できなかったりするケースでは金融機関からの信頼を得ることは難しいでしょう。そのため、核となる事業が何であるかを明確にしたうえで、その事業に関しては具体的な資料を事前に作り込んでおくこと、その他記載している項目に関してはどういったタイミングやケースで事業化される可能性が有るのかという点まで言及していくと信頼度は高まるかと思います。
以上のように、時間を守ること、提出書類を不備なく準備すること、TPOに合わせて服装で審査に臨むことはもちろん、自分の事業内容が相手側からどのように捉えられるかを意識したうえで法人口座の開設にチャレンジすると良いと思います。なお、法人口座開設で重要なポイントは後程まとめていきますので、詳しくはそちらをご覧ください。
バーチャルオフィス利用に対する各金融機関のスタンス
2008年に犯罪収益移転防止法が全面施行されたこと、2011年に警視庁から全国銀行協会やゆうちょ銀行に対して審査の厳格化が求められたことなどもあり、2010年代前半からバーチャルオフィスの住所を利用した法人口座の開設について、金融機関の警戒感は強まりました。しかし、バーチャルオフィスそのものの利用は増加傾向にあることから、バーチャルオフィスの住所を利用しての法人口座開設を一律で断るような対応をしている金融機関はむしろ少数派であると言えるでしょう。ここではバーチャルオフィス利用に対する各金融機関のスタンスをまとめてみました。なお、こちらの情報に関しては金融機関や税理士、バーチャルオフィスの運営事業者のホームページなどを参考に作成したものになりますので、具体的な情報に関しては各金融機関にお問い合わせいただければと思います。
(1)三大メガバンクのスタンス
ここでは三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の三行をメガバンクと位置付けています。りそな銀行に関してもメガバンクに含むという声もありますが、りそな銀行自らが「メガバンクグループに次ぐ日本で第4位の金融グループ」としていることもあり、今回は含まないことにしました。
さて、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の三行は圧倒的な知名度の高さから法人口座開設のニーズもとても高いと言われています。結論から言うと、三行ともバーチャルオフィスの住所を利用していることが理由で口座を開設できないということはありませんが、新たに設立して取引実績がない法人の場合、口座開設のハードルはとても高いようです。
今回、「バーチャルオフィス 法人口座」、「バーチャルオフィス 法人口座開設」、「バーチャルオフィス 法人口座 インタビュー」などとネット上で検索したところ、バーチャルオフィスの住所を利用して三大メガバンクで法人口座を開設した方のインタビュー記事を見つけることができました。詳細はリンク先よりご覧になれますが、簡単にインタビューの概要をまとめましたのでご覧いただければと思います。
三菱UFJ銀行について
バーチャルオフィスでメガバンクの銀行法人口座開設。様々な角度から実績・実態を証明された株式会社Bespoke Professionals様インタビュー
東京都千代田九段南にあるバーチャルオフィス・ナレッジソサエティの住所を利用して法人口座を開設された方にインタビューをしている記事になります。個人事業を法人成りさせた方でしたが、企業勤めの頃から個人事業主に至るまで個人口座はずっと三菱UFJ銀行を使っていたようで、その点も法人口座開設時にアピールしたようです。法人成りを検討している方は個人事業主時代の実績もアピール材料になる印象を受けました。
東京都中央区銀座にあるバーチャルオフィス・AZEXの住所を利用して法人口座を開設された方のインタビューがまとめられているページになります。なお、会員名はAさん、Bさんという形で匿名になっていますが、三菱UFJ銀行でBさんとDさんが実際に開設されたようです。
三井住友銀行について
三井住友銀行では取引実績が確認できる資料の提出が求められるようですので、新規法人の場合はハードルがかなり高いと思われます。
バーチャルオフィスで都市銀行の法人口座を2行開設。オントフ株式会社様インタビュー
東京都千代田九段南にあるバーチャルオフィス・ナレッジソサエティの住所を利用して法人口座を開設された方にインタビューをしている記事になります。三井住友銀行のほか、りそな銀行でも法人口座を開設された方であり、申込をしなかった二行の話を総合すると個人口座の利用実績と法人口座の開設は全く別の話になる印象を受けました。
みずほ銀行について
みずほ銀行はある程度の規模の法人と取引をしたいようですので、新規法人の場合はハードルが高いと思われます。
バーチャルオフィスでメガバンクとネットバンクの銀行法人口座を開設。株式会社アモシア様インタビュー
東京都千代田区九段南にあるバーチャルオフィス・ナレッジソサエティの住所を利用して法人口座を開設された方にインタビューをしている記事になります。口座開設時の面談にて銀行の審査担当から「こちらの住所はナレッジソサエティ様ですか?」と聞かれたというエピソードが掲載されていますが、結果的に口座を開設されていることから、こちらのバーチャルオフィス自体も銀行から信頼されているのかなという印象を受けました。
東京都中央区銀座にあるバーチャルオフィス・AZEXの住所を利用して法人口座を開設された方のインタビューがまとめられているページになります。なお、会員名はAさん、Bさんという形で匿名になっていますが、みずほ銀行でAさんとBさんが実際に開設されたようです。
全国に32店舗のバーチャルオフィスを運営するワンストップビジネスセンターのホームページ内で「法人口座の開設」に関してバーチャルオフィスの代表にインタビューしている記事になります。(※実際に法人口座を開設できた方へのインタビューではありません。)本店である青山店はみずほ銀行と連携しているという旨の回答がありましたが、銀行口座開設の審査は「総合的な観点による審査」であるという一般的な回答もあり、実際の生の声を得ることはできませんでした。
インタビュー記事やネット上の情報を踏まえると、メガバンクではバーチャルオフィスの住所を利用して法人口座の開設ができないわけではありませんが、新規設立で取引実績がない法人の場合、口座開設のハードルが高いと言えるでしょう。つまり、「バーチャルオフィスだから」というよりは「新規設立の法人で取引実績がないから」という理由で法人口座の開設が難しいという認識のほうが正しいと思われます。
| 三菱UFJ銀行 | 三井住友銀行 | みずほ銀行 |
開設は? | ○ | ○ | ○ |
※◎積極的、○可能性あり、△消極的、×開設不可
(2)地方銀行のスタンス
ここではゆうちょ銀行、りそな銀行、新生銀行、東京スター銀行、きらぼし銀行を地方銀行と位置付けました。様々なホームページを参照しましたが、メガバンクよりも比較的口座開設自体は容易なようです。しかし、あらかじめバーチャルオフィスはお断りの銀行もあるようです。なお、法人口座の開設の可否に関しては直接該当の金融機関に確認していただければと思います。
今回、「バーチャルオフィス 法人口座」、「バーチャルオフィス 法人口座開設」、「バーチャルオフィス 法人口座 インタビュー」などとネット上で検索したところ、バーチャルオフィスの住所を利用して地方銀行で法人口座を開設した方のインタビュー記事を見つけることができました。詳細はリンク先よりご覧になれますが、簡単にインタビューの概要をまとめましたのでご覧いただければと思います。
ゆうちょ銀行について
ゆうちょ銀行では、郵便物が登記先の住所で受け取ることができるのであれば、法人口座開設の可能性があるそうです。つまり、バーチャルオフィスを登記先にした場合にそこで郵便物等が確実に受け取れるかどうかが重要になってくるので、スタッフが常駐している有人営業のバーチャルオフィスを選ぶことをおすすめします。
バーチャルオフィスで銀行法人口座開設のため、事前に用意した2つのモノとは?一般社団法人著作権手続き支援センター様インタビュー
東京都千代田区九段南にあるバーチャルオフィス・ナレッジソサエティの住所を利用して法人口座を開設された方にインタビューをしている記事になります。ゆうちょ銀行とともに、りそな銀行でも口座を開設された方のようです。ゆうちょ銀行は即日で開設できたようです。行政書士としても事業をされていたということですのでこちらの信頼度も口座開設につながったのかなと感じます。
東京都中央区銀座にあるバーチャルオフィス・AZEXの住所を利用して法人口座を開設された方のインタビューがまとめられているページになります。なお、会員名はAさん、Bさんという形で匿名になっていますが、ゆうちょ銀行でBさんとDさんが実際に開設されたようです。
東京都内で自社所有拠点4店舗などを運営するバーチャルオフィス・カスタマープラスの住所を利用して法人口座を開設された方の実績がまとめられていました。(※こちらはインタビュー記事などありませんでした。)ゆうちょ銀行では2019年の1年間で18件ほど口座開設の実績があるようです。
りそな銀行について
りそな銀行では、バーチャルオフィスでの口座開設の実績が多数あるようです。なお、りそな銀行九段支店がある「りそな九段ビル」にはバーチャルオフィス・ナレッジソサエティも入居しており、こちらのバーチャルオフィスを利用することでりそな銀行九段支店での口座開設の可能性は高まるような気がします。
りそな銀行の銀行法人口座をバーチャルオフィスで開設。ホームページが口座開設のカギを握った営業代行会社M.K様インタビュー
東京都千代田区九段南にあるバーチャルオフィス・ナレッジソサエティの住所を利用して法人口座を開設された方にインタビューをしている記事になります。りそな銀行とGMOあおぞらネット銀行で口座を開設されています。自宅で登記していた頃に別の銀行で口座開設を断られてしまったようで、実績を積んだ後、かつバーチャルオフィスの住所で登記することで法人口座の開設に成功したようです。バーチャルオフィスの選び方を間違いなければ、バーチャルオフィスの住所でも法人口座を開設できるという印象を受けました。
新生銀行について
新生銀行では、審査基準は公表していないようですが、郵便物を登記先以外の住所に転送することが出来るバーチャルオフィスであれば法人口座開設の可能性が高まるようです。残念ながら口座開設に関するインタビュー記事などを見つけることはできませんでした。
東京スター銀行について
東京スター銀行に関してはバーチャルオフィスの住所を利用しての法人口座開設が難しいという情報が多かったです。詳細に関しては直接問い合わせてみると良いでしょう。
きらぼし銀行について
きらぼし銀行に関してはバーチャルオフィスの住所を利用しての法人口座開設が難しいという情報が多かったです。詳細に関しては直接問い合わせてみると良いでしょう。
地方銀行に関しては、取引実績などがあまりなくても全体的にメガバンクよりは法人口座を開設しやすいという印象でしたが、銀行によっては消極的な姿勢もあるようです。
| ゆうちょ銀行 | りそな銀行 | 新生銀行 |
開設は? | ○ | ○ | ○ |
| 東京スター銀行 | きらぼし銀行 | – |
開設は? | △ | △ | – |
※◎積極的、○可能性あり、△消極的、×開設不可
(3)信用金庫・信用組合のスタンス
信用金庫・信用組合は全国各地にあり、メガバンクに比べて法人口座開設の審査が通過しやすいと言われています。地域に密着していることが強みで、事業内容によっては融資の相談にも乗ってくれる可能性があります。しかし、バーチャルオフィスで法人口座の開設を目指すとなるとかなり厳しいようです。バーチャルオフィスを利用する場合、実際に作業するスペースと登記上の本店所在地が異なることはもちろん、ビジネスを行う場所も地域に限定しないケースも多いことから、信用金庫や信用組合としては支援することが難しいのかなと考えられます。すべての信用金庫・信用組合でバーチャルオフィスの住所を利用した法人口座の開設が認められないわけではないと思いますが、法人口座の開設を検討する際の優先度はあまり高くしておかないほうが良いでしょう。実際に「バーチャルオフィス 信用金庫 法人口座」などと検索してもインタビュー記事などはヒットしませんでした。
(4)ネット銀行(ネットバンキング)のスタンス
店舗型の銀行にこだわり、法人口座開設の際にネット銀行(ネットバンキング)を候補から除外してしまう人も多いようですが、ネット銀行(ネットバンキング)はオンラインバンキングの機能が充実しており、振込手数料もメガバンクや地方銀行に比べて安くなっており、新規法人設立時など、資金が潤沢にない時期にはとても便利だという声も多数あります。ただし、口座開設に積極的なネット銀行もあれば、消極的な姿勢のネット銀行やそもそも法人口座を開設できないネット銀行もありますので、開設時には下調べをしてから申し込むことが効率的だと思います。
今回、「バーチャルオフィス 法人口座」、「バーチャルオフィス 法人口座開設」、「バーチャルオフィス 法人口座 インタビュー」などとネット上で検索したところ、バーチャルオフィスの住所を利用してネット銀行(ネットバンキング)で法人口座を開設した方のインタビュー記事を見つけることができました。詳細はリンク先よりご覧になれますが、簡単にインタビューの概要をまとめましたのでご覧いただければと思います。
auじぶん銀行
auじぶん銀行に関しては法人口座自体が開設できないようです。
イオン銀行
イオン銀行に関しては、かつては法人口座自体が開設できなかったようですが、現在は開設できるようになっています。ただし、バーチャルオフィスを利用する場合は不正利用防止の観点から法人口座の開設を断っているという情報もありましたので、事前に口座開設の可能性があるかを直接確認する必要があります。なお、バーチャルオフィスを利用しているか否かに関わらず、数年間の事業実績がないと審査対象にならないとの情報もあったので、特にどうしてもイオン銀行で口座を開設したいという場合を除き、優先度は下げても良い気がします。
GMOあおぞらネット銀行
GMOあおぞらネット銀行に関しては、2018年7月開業ということもあり、戦略的に口座数を増やそうという狙いがうかがえます。当然ながら、審査基準が緩いというわけではないと思いますが、インタビュー記事などを参照すると、審査担当が口座開設にあたってとても親身に相談に乗ってくれたという事例もあります。バーチャルオフィスの住所を利用してすぐに法人口座を開設したい人にはおすすめできる銀行だと言えるでしょう。
バーチャルオフィスで起業し、GMOあおぞらネット銀行にて口座開設。HPの重要性をお聞きした合同会社DLS様インタビュー
東京都千代田区九段南にあるバーチャルオフィス・ナレッジソサエティの住所を利用して法人口座を開設された方にインタビューをしている記事になります。別のネット銀行(ネットバンキング)には開設を断られてしまったようですが、GMOあおぞらネット銀行で無事に口座を開設されています。GMOあおぞらネット銀行は他のネット銀行に比べて取引実績などがあまりなくても口座開設がしやすいという印象を受けました。この方以外にも、店舗型の銀行とGMOあおぞらネット銀行で同時に法人口座を開設されている方が複数いらっしゃいました。
東京都内で自社所有拠点4店舗などを運営するバーチャルオフィス・カスタマープラスの住所を利用して法人口座を開設された方の実績がまとめられていました。(※こちらはインタビュー記事などありませんでした。)GMOあおぞらネット銀行では2019年の1年間で14件ほど口座開設の実績があるようです。
GMOあおぞらネット銀行の担当者に聞いてみた「法人口座開設の審査のポイントとは?」
創業手帳のホームページにて「経営者にオススメのGMOあおぞらネット銀行、法人口座開設のポイント教えます」というタイトルでGMOあおぞらネット銀行を紹介する記事がありました。2018年7月開業ということもあり、審査体制が緩いわけではないと思いますが、法人口座開設に対してとても積極的な印象を受けました。
ジャパンネット銀行
ジャパンネット銀行に関しては、バーチャルオフィスで法人口座の開設ができるようです。バーチャルオフィスを運営する事業者のホームページをいくつか検索しましたが、開設実績がそれなりに充実していました。
バーチャルオフィスでも銀行法人口座を開設できた!審査通過の決め手となった追加書類はこれ1つ!株式会社Innorevo様インタビュー
東京都千代田区九段南にあるバーチャルオフィス・ナレッジソサエティの住所を利用して法人口座を開設された方にインタビューをしている記事になります。三井住友銀行とジャパンネット銀行、楽天銀行の三行で銀行口座を開設された一方で、同じネット銀行でも住信SBIネット銀行では開設を断られてしまったようです。「メガバンクだから口座開設は難しく、ネット銀行なら口座開設は簡単」ということではないという印象を受けました。
東京都内で自社所有拠点4店舗などを運営するバーチャルオフィス・カスタマープラスの住所を利用して法人口座を開設された方の実績がまとめられていました。(※こちらはインタビュー記事などありませんでした。)ジャパンネット銀行では2019年の1年間で17件ほど口座開設の実績があるようです。
住信SBIネット銀行
住信SBIネット銀行に関しては、かつては「バーチャルオフィスでの法人口座開設をお断り」ということを明言していましたが、現在はバーチャルオフィスの住所でも口座開設ができるようです。三井住友銀行やジャパンネット銀行、楽天銀行で口座が開設できた一方で、住信SBIネット銀行で開設できなかった方のインタビュー記事が2018年にアップされていることから、2019年以降に方針がやや変わってきているようです。
東京都内で自社所有拠点4店舗などを運営するバーチャルオフィス・カスタマープラスの住所を利用して法人口座を開設された方の実績がまとめられていました。(※こちらはインタビュー記事などありませんでした。)住信SBIネット銀行では2019年の1年間で14件ほど口座開設の実績があるようです。
ソニー銀行
ソニー銀行に関しては法人口座自体が開設できないようです。
参考:ソニー銀行 よくある質問
楽天銀行
楽天銀行に関しては、バーチャルオフィスで法人口座の開設ができるようです。バーチャルオフィスを運営する事業者のホームページをいくつか検索しましたが、開設実績がそれなりに充実していました。
とにかく速い!起業1ヵ月目にバーチャルオフィスで銀行法人口座を開設!Y.H様インタビュー
東京都千代田区九段南にあるバーチャルオフィス・ナレッジソサエティの住所を利用して法人口座を開設された方にインタビューをしている記事になります。りそな銀行と楽天銀行で口座開設をされたようです。この方はりそな銀行で先に口座を開設された後、振込手数料が安いネット銀行の口座も持ちたいということで楽天銀行にも申し込んだようです。ナレッジソサエティはりそな九段ビルに入居しているバーチャルオフィスのため、口座開設にあたって少々アドバンテージがあるのかなという印象を受けました。
東京都内で自社所有拠点4店舗などを運営するバーチャルオフィス・カスタマープラスの住所を利用して法人口座を開設された方の実績がまとめられていました。(※こちらはインタビュー記事などありませんでした。)楽天銀行では2019年の1年間で12件ほど口座開設の実績があるようです。
ネット銀行(ネットバンキング)に関しては、法人口座自体を開設できない銀行から、かなり口座開設に積極的な銀行まで幅広く存在します。GMOあおぞらネット銀行に関しては後発の銀行であるために口座数の増加を当面の目的にしているような印象を受けますので、開設するなら今が狙い時という印象を受けました。また、現在法人口座自体が開設できない銀行も今後方針が変わる可能性がありますので、注視しておくと良いでしょう。
| auじぶん銀行 | イオン銀行 | GMOあおぞらネット銀行 |
開設は? | × | △ | ◎ |
| ジャパンネット銀行 | 住信SBIネット銀行 | ソニー銀行 |
開設は? | ○ | △or○ | × |
| 楽天銀行 | – | – |
開設は? | ○ | – | – |
※◎積極的、○可能性あり、△消極的、×開設不可
銀行の法人口座開設で重要なポイント
ここまでバーチャルオフィスの住所を利用して法人口座を開設できないケースや、各金融機関のスタンスをまとめてきましたが、最後にバーチャルオフィスの住所で銀行の法人口座を開設にあたって重要なポイントを整理していきたいと思います。
ポイント1「信頼度の高いバーチャルオフィスと契約すること」
1つ目のポイントは信頼度の高いバーチャルオフィスと契約することです。冒頭でバーチャルオフィスの審査体制が緩いことが反社会的な活動をする組織の入居につながり、こうした組織が法人登記してしまうことで住所が汚れてしまうということを説明しました。そのため、契約するバーチャルオフィスをしっかり選ぶことはとても重要なこととなります。銀行の法人口座開設をメインに考える場合、選ぶ際の最重要ポイントは次の3つになります。
審査体制が厳重なバーチャルオフィスを選ぶこと
バーチャルオフィスの利用を検討する際、コストを抑えたいという気持ちがあることは当然だと思いますが、利用料金の安さで選んでしまうと必ず失敗します。利用料金が著しく安いバーチャルオフィスはそれだけ様々なことにコストをかけていないということですので、劣悪なサービスだったり、反社会的な活動をする組織が安易に入居して登記してしまったりする可能性がとても高いです。そのため、「審査体制が厳重であること」をバーチャルオフィス選びの最重要ポイントに掲げましょう。特に法人口座の開設を検討する場合、同じ住所を反社会的な活動をする組織が利用している場合、自分がまっとうなビジネスをしていたとしてもマイナス影響を受けかねません。入会時に複数の公的書類の提出を求めていることに加え、対面審査を実施しているバーチャルオフィスを選ぶことをおすすめします。
銀行での法人口座開設実績が充実しているバーチャルオフィスを選ぶこと
法人口座の開設が目的である場合、契約するバーチャルオフィスの法人口座開設の実績があるかどうかも重視してください。実際に法人口座開設の申し込みをするのはご自身になりますが、バーチャルオフィス側に開設に関する知見がある場合、相談することができます。特に実際の会員の声をインタビューなどで掲載しているバーチャルオフィスはサポートに関する信頼度が高いと思いますので、選ぶ際に検討してみてください。また、下記のバーチャルオフィスに関しては口座開設ができなかった際、料金の返金があるようです。それだけ口座開設に自信があるということだと思いますので、参考にしてみてください。
法人口座が開設できなかったことを理由にサービスを退会される場合は、入会金・保証金・2ヶ月分の基本料金を返金する制度のようです。ただし、これまで返金実績ゼロということなので法人口座がほとんど確実に開設できるバーチャルオフィスということができるのではないでしょうか。なお、こちらのバーチャルオフィスは利用者へのインタビュー記事も充実しており、実際に利用者の多くが開設出来ていることがうかがえます。
法人口座が開設できないことが理由で解約する場合は、サービス登録費用、電話転送前払い金費用(※電話転送前サービスに限る)、2カ月分の月額料を返金する制度のようです。2019年の口座開設実績については97件という情報は開示されていますが、こちらの制度に関する返金実績に関しては特に言及がありませんでした。また、総数が97件ということですので、複数行で口座を開設する人がいることを考えると、少々物足りない数字である印象を受けました。
スタッフが常駐している有人営業のバーチャルオフィスを選ぶこと
銀行で法人口座を開設する際、実際に銀行の審査担当がバーチャルオフィスの現地を訪れたり、バーチャルオフィスに併設されている面談スペースなどで打ち合わせをしたりすることがあるようです。このような場合はスタッフが常駐している有人営業のバーチャルオフィスを選んだほうが無人営業に比べて信頼度が高くなると言われています。
また、スタッフが常駐している有人営業のメリットとして、受け取ってもらえる郵便物の種類が増えるということがあります。具体的には簡易書留などのサインの必要な郵便物について、バーチャルオフィスのスタッフに代理で受け取ってもらえる可能性が高まります。特に法人口座を開設した後、銀行のキャッシュカードなどがバーチャルオフィス宛に届くことになると思いますが、その際にスムーズに受取ができることは大きなメリットになるでしょう。
ポイント2「信用を意識して法人を設立する」
2つ目のポイントは信用を意識して法人を設立することです。注意するポイントとしては法人名、資本金の金額、事業目的の3点になります。
法人名
法人名に関してこだわりをお持ちの方も多いと思いますが、次の2点は必ず気を付けてください。1点目は、過去に反社会的な活動を行った法人と同じ名称にすることは避けるということです。しっかりと調べれば、反社会的な活動を行った法人かどうかはわかることだとは思いますが、わざわざ疑われるような名称にする必要はないかと思います。他人の名前を聞いた時に有名人と同じ名前だったりすると一瞬ハッとするかと思います。その有名人にネガティブな人印象を持っていたりすると、何かソワソワした気分になることもあるのではないでしょうか。ネガティブな印象を与えてしまうような法人名を避けることは、法人口座の開設だけではなく、その後の事業にも良い影響を与えると考えられます。
2点目は、契約を検討するバーチャルオフィスがある場合、既にその住所で登記している法人の名称はもちろん、類似名称の使用を避けることです。法律上、同一住所に同じ法人名で登記することはできないことに加え、バーチャルオフィスは郵便物の受け取りや転送もサービスに含まれていることが多いため、類似名称の利用もお断りされる可能性が高いです。そのため、契約する前に検討している法人名で登記ができるかをあらかじめ確認するようにしましょう。
資本金の金額
資本金の額についても重要になってきます。現在、日本では資本金が1円からでも法人を設立することができることになっています。積極的な起業を促すための制度としては魅力的な面もありますが、資本金が取引相手に与える印象はとても大きなものです。資本金の額は会社の体力とも言い換えることが出来ますので、銀行での法人口座の開設はもとより事業を行う上でも、資本金をある程度の金額にしておくことは必要といえるでしょう。
事業目的
新規に法人を設立する上で多くの人が陥ってしまう落とし穴があります。それは定款を作成する際に事業目的を大量に書いてしまうことです。確かに法人は定款に記載されていない事業以外を行うことはできませんので、今後事業化するかもしれないことをあらかじめ記入することを否定はできません。しかし、銀行で法人口座を設立しようと考えた際、「その定款が審査担当者の目にどのように映るのか?」ということも考える必要があります。事業目的を後から定款に加えることもできますので、まずはどのような事業に力を注ぐのか?ということがわかる定款を作成することを心がけるとよいのではないでしょうか。
ポイント3「申込書類+αを準備する」
3つ目のポイントは口座開設時に申込書類を不備なく準備することはもちろん、プラスアルファの資料も準備することです。実際に多くの金融機関で申込時に提出が求められる書類とプラスアルファで自主的に用意したほうが良い書類をまとめましたので、参考にしていただければと思います。なお、金融機関によって求められる書類は異なりますので、口座開設の申込時はその金融機関の指示に従った書類を用意するようにしてください。
多くの金融機関で提出が求められる書類
下記のリストに挙げた11点はほとんどの金融機関で提出が求められます。金融機関の審査も人と人との信頼関係の延長線上にあるものです。必要な書類をもれなく揃えておくことも審査に影響があると思って準備をしましょう。
【チェックリスト】
1 | 履歴事項全部証明書 |
2 | 来店する方の身分証明書 (免許証、パスポート、マイナンバーカードなど顔写真あり) |
3 | 来店する方と法人の関係を証する書類(委任状など) |
4 | 法人の印鑑証明書 |
5 | 法人番号が確認できる書類(法人番号通知書など) |
6 | (主要)株主名簿または(主要)出資者名簿 |
7 | 所轄税務署あての法人設立届出書(控) |
8 | 所轄税務署あての青色申告承認申請(控) |
9 | 主たる事務所の建物登記簿謄本(現在事項証明書) または主たる事務所の賃貸借契約書 ※バーチャルオフィスの場合は利用契約証明書などになります |
10 | 定款の写し |
11 | 実質的支配者についての説明書類 |
なお、チェックリスト4から6の書類は金融機関よっては提出を求められることがあり、7から11の書類は新規法人がよく提出が求められる書類になります。
自主的に用意したほうが良い書類
下記のリストに挙げた7点は銀行に対してしっかりと事業を行っていることを示すための資料になります。金融機関は反社会的活動を行う組織に対して口座開設をさせたくないため、様々な確認を行います。正常な事業を行っているということをできるだけ多くの資料で金融機関に証明していくことが大切になってきます。
【チェックリスト】
1 | 請求書、見積書、注文書、仕様書など ※取引実績があることの証明になります |
2 | 各行政機関等の許認可・届出・登録等が必要な業種の場合は完了済であることを確認できる資料 |
3 | 履歴書・業務経歴書 ※企業勤めや個人事業主から同様の事業を行う場合、その事業での実績を示すことができます |
4 | 会社案内、製品、パンフレット |
5 | ホームページ ※ネット銀行(ネットバンキング)では必須と言われるくらい重要なものとなります |
6 | 過去にメディアに取り上げられた記事など |
7 | 今回のビジネスに関連した資格の証明書など |
既に取引実績のある場合、請求書や見積書などは事業が軌道に乗っていることを示す資料になり、許認可が必要な業種であれば許認可が取れているという事実は行政機関等から一定の評価を得た法人であることを示すことにもなります。また、新規法人の場合、会社案内やパンフレット、そしてホームページなどがしっかりしたものであるかが法人口座の開設にあたっては重要な資料となってくるようですので、必要書類を揃えるだけではなく、金融機関側にアピールできる書類をたくさん揃えるようにしてみてください。
ポイント4「社会人としてのマナーをもって審査・面談に臨む」
4つ目のポイントは社会人としてのマナーをもって審査・面談に臨むことです。金融機関の審査担当も人間ですので、最低限の社会人としてのマナーをもって審査・面談に臨むようにしましょう。
時間を守ること(期日を守ること)
1点目は時間を守ることです。言うまでもないことかもしれません。しかし、にわかに信じがたいのですが、近年はスマートフォンの普及等もあり、安易に時間に遅れることが癖になっている社会人もいるようです。信頼関係を築くのには一生かかりますが、信頼関係を崩すのは一瞬です。第一印象で「時間すら守れない人」というレッテルを貼られないように気を付けましょう。
身だしなみに気を配ること(TPOに合わせた服装で臨むこと)
2点目は身だしなみに気を配ることです。特別な格好をしなくてはならないというわけではありません。しかし、面談では法人を運営する代表者そのものも審査される対象だと思っておくべきですので、第一印象でマイナスな印象を与えないように、TPOに合わせた服装で臨むようにしてください。
事業内容を説明できる準備をしておくこと(プラスアルファの書類を用意しておく)
3点目はしっかりと事業内容を説明できる準備をしておくことです。結果的に提出不要と言われるかもしれませんが、事業内容を知ってもらうためにプラスアルファで書類を用意しておくことが、事業内容をしっかり説明するための準備になるかと思います。自分が取り組むビジネスの事業内容をたどたどしく説明する人よりは、しっかりと説明できる人のほうが信頼度は高いに決まっています。自信をもって審査・面談に臨めるように準備をしておきましょう。
バーチャルオフィスの住所を利用して銀行の法人口座を開設するには!?
最後にバーチャルオフィスの住所を利用して銀行の法人口座を開設するために大切なことをまとめておきます。結論としては下記の3点に気を付けることでバーチャルオフィスの住所でも銀行の法人口座は開設可能です。
1点目は法人口座の開設可能性がある金融機関を選ぶことです。金融機関によっては反社会的な活動をする組織の利用を過度に警戒するあまり、バーチャルオフィスの住所を利用した法人の口座開設に消極的な姿勢を持つところもあります。そのため、バーチャルオフィスの住所を利用することに対し、理解を持ってくれるような金融機関を選ぶことが重要です。
2点目は契約するバーチャルオフィスをしっかり選ぶことです。バーチャルオフィスを選ぶ際は、対面審査を実施しているなど審査体制が厳重であること、法人口座の開設実績がしっかりとあること、スタッフが常駐している有人営業であることを重視するようにしてください。これらを重視することで、バーチャルオフィスの住所でも法人口座の開設がしやすくなると考えられます。
3点目は設立した法人はもちろん、自らも信頼されるように行動するようにすることです。金融機関から求められた書類だけではなく、プラスアルファで信頼度を高められるような資料を準備することや、当たり前のことですが時間を守る、きちんとした服装で審査に臨むなど、社会人としての最低限のマナーをもって、審査・面談に臨むことがとても大切になります。金融機関の審査担当も人ですので、人と人との信頼の上にビジネスは成り立つということは常に意識してもらえればと思います。
バーチャルオフィスの住所を利用して銀行の法人口座の開設を検討している皆様に役立つ情報となれば大変うれしく思います。最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
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