目次
第1章|そもそも「弁護士照会制度」とは?バーチャルオフィス利用者にも関係あるの?
「弁護士照会制度」とは、弁護士法第23条の2に基づき、弁護士が訴訟や法律事務に関連して、官公署や企業に対し、正当な理由がある場合に情報提供を求めることができる制度である。俗に「23条照会」と呼ばれる。
この制度は、主に以下のようなケースで利用される:
誹謗中傷・名誉毀損の加害者特定(SNS・掲示板など)
債権回収における相手方の住所・勤務先の確認
契約トラブルに関する所在調査 など
そして、実はこうした照会の中には、バーチャルオフィスの住所が「利用者の住所」として使われているケースが含まれている。
たとえば、ネット通販でトラブルがあった際に、販売者の連絡先がバーチャルオフィスの住所であった場合、被害者側の弁護士がその住所を宛先に「照会文書」を送付することになる。
つまり、バーチャルオフィスを利用している人も、他人事ではない制度なのである。
第2章|バーチャルオフィスを利用していると、なぜ弁護士照会が問題になるのか?
バーチャルオフィスは、物理的に業務を行っていなくても、住所だけを貸与する仕組みだ。そのため、利用者の実体や居所が不明瞭になりがちであり、以下のようなトラブルにつながることがある。
① 実在確認が取れない
弁護士が照会文書を送っても、宛先が受付事務局で止まり、利用者本人に届かないことがある。郵便転送のタイムラグ、契約者の連絡先未登録・変更忘れなどが原因だ。
② 利用者が匿名的に運用している
特に、副業やプライバシー保護目的でバーチャルオフィスを使っている人の中には、自宅住所や連絡先を表に出さないケースがある。これが、悪意なくとも「連絡がつかない」状態を生み、照会側からは“不誠実”と見なされる可能性もある。
③ 結果として運営会社に責任が及ぶ
本人と連絡が取れない場合、照会はバーチャルオフィス事業者に転送され、「契約者情報の開示依頼」が届くことがある。事業者側の対応次第では、利用者の情報が照会者(弁護士)に渡るケースもある。
第3章|弁護士照会とバーチャルオフィス運営者の義務・対応の実態
ここで押さえておきたいのが、バーチャルオフィス運営者の法的義務だ。
① 情報提供義務は“原則なし”
弁護士照会は法的強制力を持たないため、バーチャルオフィス運営者に対して**「必ず回答しなければならない法的義務はない」**。回答は任意であり、照会に応じないことも可能だ。
② ただし「協力」するケースもある
とはいえ、事案の性質によっては、運営者が独自判断で契約者情報を提供することがある。特に以下のような場合には、協力的になる傾向がある。
詐欺的商法・名義貸しなど、社会的非難性が高いと判断される場合
公的機関(警察・裁判所など)からの紹介・問い合わせがあった場合
利用規約に「違法利用時は情報提供あり」と明記している場合
つまり、「バーチャルだから絶対に身元が割れない」というのは誤解であり、照会内容や事業者の方針次第では、契約情報が明らかになる可能性があるのだ。
第4章|照会リスクを避けるためにできる対策と心構え
バーチャルオフィス利用者が、弁護士照会リスクに備えるには、以下のような対策が重要となる。
① 適切な本人確認を行っている事業者を選ぶ
本人確認が緩いバーチャルオフィスでは、照会リスク以前に「同一住所に複数の怪しい会社が存在する」といった状態になりやすく、巻き添えリスクも増える。審査のある信頼性の高いサービスを選ぶことが前提だ。
② 契約者情報の更新を怠らない
郵便転送先、メールアドレス、電話番号などを最新のものに保つ。連絡が取れない状態が一番危険である。
③ 表示情報と実体を一致させる
ウェブサイトや請求書などの表示上、「架空っぽさ」が出ないようにする。弁護士照会の対象となるのは“信頼性の低さ”が見られるアカウントや企業であることが多い。
④ 法令順守を基本とした運用
当然ながら、法令を遵守した活動をしていれば、照会を受ける可能性自体が低くなる。万一照会があっても、適切に対応すれば信用を失うこともない。
まとめ|バーチャルオフィス利用者も“他人事”ではない!弁護士照会への理解と備えを
バーチャルオフィスはコストやプライバシーの面で大きなメリットがある一方、「実体性が不明な存在」と誤解されるリスクも抱えている。
弁護士照会制度は、正当な目的のために用いられる法的手段だが、バーチャルオフィスを介した取引では、照会先が適切に対応しないことでトラブルが拡大することもある。
だからこそ、バーチャルオフィスの利用者も「自分が照会される立場になり得る」ことを認識し、信頼性のある使い方を心がけることが、事業継続や信用維持のカギとなる。
利用者自身が責任をもって情報を管理し、正しいサービス選定を行うことで、バーチャルオフィスの利点を最大限に活かすことができるだろう。
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