起業したさいには事業所の所在地が必要になりますが、この時の所在地の住所というのは事業を行っていく上でのステータスとなるものです。地価が低いところよりは高いところの方が印象が良くなりますし、また商談も行いやすくなるものですが、最初から事業所をそのようなところに設けるのにはハードルが高いものといえます。ひとつは賃料でそれなりのオフィスを構えるとなえれば、毎月の支払額は大きくなり経営を圧迫してしまいますし、また会社としての信用力がなければ、貸してくれるところも限られてきます。このような時に借りやすくて使いやすいのがレンタルオフィスやバーチャルオフィス、最近ではシェアオフィスと呼ばれるものです。
レンタルオフィスは、比較的多く見られるもので事務所としての設備を兼ね備えた個室を借りることができるというもので、従来の賃貸オフィスを借りるよりも手軽です。このため起業したばかりの時や臨時のオフィスとして広く使われています。一方でレンタルオフィスは、オフィスを個室化したものですから、一般の賃貸オフィスを借りるよりは条件が良いとはいっても、相応の賃料を支払わなければなりません。そこで登場したのが、バーチャルオフィスやシェアオフィスと呼ばれるものです。
バーチャルオフィスの場合には、建物の住所だけを貸すといったもので、サービスとしては電話や郵送物の転送を行ってくれるというものになります。実在しないオフィスであるためバーチャルと呼ばれていますが、地価の高い場所で起業したい人や、そもそもオフィスで仕事をするような事業ではない事業家が一定のステータスを求めるためによく利用されています。ただしバーチャルオフィスといってもその種類はさまざまで、一時的に利用できる個室や会議室が用意されているところもあるなど多様化しており、そのような差別化されたものはシェアオフィスとも呼ばれているものです。
東京にもそのような需要がもっとも多い地域であり、選択肢も豊富にありますが知名度の高い場所としては千代田区があります。千代田区は、東京23区のほぼ中央に位置しており皇居を中心とした一角で、東京駅前に広がる日本でもっとも活気のあるビジネス街がある丸の内も千代田区に含まれます。また政治、行政、司法の中心地でもあり政治では国会議事堂や議員会館があるほか、行政では官庁街の霞が関がありますし最高裁判所も所在している場所です。一方で、ビルばかりが立ち並ぶものではなく皇居を中心として千鳥ヶ淵や東御苑などがあり自然が豊かであり、イメージとしても良い地域になります。
そのような千代田区にもバーチャルオフィスはありますが、立地で見るとその場所は限られます。丸の内や霞が関、また永田町といった地域は千代田区の中心地でもあり、一般のオフィスビルはほとんどありませんし、需要も盛んで空きそのものが存在しません。レンタルオフィスの多くは、オフィスビル全体または一部を小口に貸し出すというものですが、そのような事をしなくても借りてくれる会社はいくらでもあるため、ほとんど小口に貸し出すといったことが行われいないものです。それらの地域より外を見れば貸し出しをしているところが見られ、地域としては麹町や神田といった場所です。麹町は国会議事堂などがある政治の中心地、永田町の北側にある地域で、神田はオフィス街の丸の内の北側にあります。また皇居の北側に広がる九段にもありますが、九段周辺は文教地区の色合いが強いためビジネス向けの施設が少なめです。
麹町は政治や行政、司法といった施設が集中する永田町や霞が関と近い場所ですから、それらに関連する事業を行うのであればオフィス住所を構えるのに適した地域といえます。また、神田や九段は日本のビジネスの中心地でもある丸の内や東京駅を挟んだ東側に広がっている日本橋にも近いので企業向けのBtoB事業を行うといった場合に強みがある地域です。同じ千代田区でも地域によってイメージが変わるものですから、適した場所を選ぶことが成功するためのポイントになります。
これらの地域では、レンタルやバーチャル、シェアといったすべてのサービスを提供しているところも珍しくありません。個室を一時的に借りることができる施設も豊富にありますが、地下鉄の駅からすぐ近くで利便性が高いところほど利用料金が高くなりがちです。少し離れた場所になると安くなりますが、立地のほか設備の新しさなども判断基準になります。また会議を行うことをあまりしないのであれば、会議室がないものでも問題ありません。実際に出会って商談をするといった場合には貸し会議室を利用すれば良いものです。また個室についても、バーチャルオフィスの性質上、それほど設備が整っているとは限りません。個室設備を期待するのであればレンタルオフィスやシェアオフィスといったジャンルのものを選ぶことが無難です。
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